魚町 紫鱗(しりん)
龍が巻く化粧柱に注目
「紫鱗」とは鮮魚の美称で魚町のだんじりに最もふさわしい表現です。又の名を「庶尹充諧(しょいんまことにやわらぐ・諸々の役人が一堂に会して調和する事)」とも言い、その文字が前後の妻梁の上部に書かれています。
「紫鱗」の特筆すべき見どころは囃子座の4本の化粧柱です。雲の間を飛翔する「龍」を文様化した、錺(かざり)金具で造られた雲龍文(うんりゅうもん)が巻かれています。胴幕も5枚に分かれて中国故事の英傑らが描かれており総金具の勾欄、天幕と合わさって重厚・豪華なだんじりです。
だんじりのつくりなど
- 屋根
- 唐破風。せり上げ万力で屋根を揚降する。
- 懸魚
- 菊花に飾葉
- 天幕
- 雲竜(刺繍)。裏面は丸龍蜀江(刺繍)。嘉永4年(1851)
- 水引幕
- 群賢、琴碁書画(刺繍)
- 胴幕
- 黄石公、張良、蝦蟇仙人、鉄拐仙人、牡丹に孔雀、御殿鷹(刺繍)
- 前幕
- 両脇に関羽、張飛、劉備玄徳(緋羅紗地に刺繍)
- 見送幕
- 群仙図(刺繍)
- 勾欄
- 総金具。「金具第一」である。
- 柱
- 龍金具「上り龍」「下り龍」
- 囃子
- 祇園囃子
しるし「琴高仙人(きんこうせんにん)」
琴高仙人が鯉に乗って水中から現れたという故事にもとづく。
文化10年(1813)9月新調