小玉町 小簔山(こみのやま)
刺繍で描かれた朝鮮通信使
だんじり「小簔山」の見どころの一つは、見送幕です。本祭の巡行に掛ける刺繍の見送幕は、朝鮮通信使を描いています。鎖国体制の江戸時代にあって、日本にやって来る外国人は、非常に珍しいものでした。朝鮮通信使の行列は、伊賀地域を通行することこそありませんでしたが、この幕をながめながら、当時の人々は外国からの賓客に思いをはせたことでしょう。
もう一つは、曳方の法被です。曳綱を持つ曳方の法被には、楼車の名前の由来となった松尾芭蕉の名吟「初時雨さるも小蓑をほしげなり」が、小玉町の象徴である分銅紋とともに染め抜かれています。すでに登録されています上野天神祭同様に、登録に向けた動きのある「俳句」もユネスコ無形文化遺産に登録されると良いですね。
だんじりのつくりなど
- 屋根
- 唐破風(からはふ)
- 眼象
- 分銅(小玉)紋/足元に雲形の彫刻
- 懸魚
- 雲に鶴の透かし彫り
- 天幕
- 桐に鳳凰図(緋羅紗地に刺繍)
- 水引幕
- 西園雅集図(森寛斎下絵)
- 胴幕
- 右左に象と雀・虎(二十四孝のうち大舜・楊香の図/緋羅紗地に刺繍、前川五嶺下絵)/讃は「忠則順天孝則生福、天降大孝萬方楽」(貫名菘翁下書)
- 前幕
- 龍と亀(緋羅紗地に刺繍)。胴幕の雀(朱雀)、虎(白虎)、前幕の龍(青龍)、亀(玄武)で四神をあらわす。
- 見送幕
- 朝鮮通信使図(刺繍)
- 囃子
- 祇園囃子
しるし「三社の託宣(さんしゃのたくせん)」
三社の託宣とは伊勢神宮、石清水八幡宮、春日大社の三社の神のお告げです。小玉町のしるしは町の紋形である分銅型の外郭の中に天照皇大神と八幡大菩薩、春日大明神を配置しています。
練物「七福神」
寛延4年(1751)に七福神の練物が出来ました。以来、しるし・だんじりと共に祭礼に供奉するようになったが、現在は特別な年次のみとなっています。