ユネスコ無形文化遺産 鬼とだんじり

東町 桐本(きりもと)

雅な五楽奏の囃子に注“耳”!

東町のだんじり「桐本」は文政10年(1827)伊賀の仏師筒井儀兵衛らにより作られました。その当時菅原神社の境内には桐の大木があり、そこから神社のおひざ元の地区である東町のだんじりは「桐本」と名付けられました。

上野天神祭の他の8基のだんじりと比べ大きく異なるのは胴幕です。水引幕が無く、正面の袖幕から3面を連続した蘭亭曲水の宴の柄の大幕で覆っています。

もう一つの特色は桐本のだんじり囃子です。上野天神祭の他の8基のだんじり囃子が祇園囃子の流れにあるのと異なり、二連摺鉦、太鼓、篠笛に鼓、三味線が加わった五楽奏です。曲の調子もゆったりとした雅やかなもので他とは趣を異にします。参考に桐本の曲を聴く位置は「桐本」の後方からが最適です。少し離れた後方から味わってください。

胴幕の一部
天幕 前

だんじりのつくりなど

屋根
唐破風、妻「前」雲に麒麟、「後」波に犀の彫り物
鬼板
鬼面の彫物
懸魚
菊花の透かし彫り
天井
切こまの松竹梅の蒔絵(人形師・筒井猪久造画)
天幕
牡丹に唐獅子(縫取刺繍)
胴幕
蘭亭曲水の宴、伊賀の画家大北珉堂の下絵
簾の間
だんじり下層正面・天井には菊花の絵、擬宝珠勾欄付の張り出し

しるし「逆熨斗(さかさのし)

天保11年(1840)に発行された天神祭の版画「伊賀上野天満宮祭礼九月廿五日行列略記」に扇面に文字の「のし」を逆さに添えた図が残っており、これに基づき昭和53年(1978)に濱邊萬吉画伯の匠案設計により文字から鮑熨斗に改め復興しました。

だんじり蔵の場所