中町 其神山・葵鉾(きしんざん・あおいぼこ)
高く、ひときわ勇壮な姿
宝暦9年(1759)に其神山が造られました。その後改築等を経て現在に至っています。見どころは風格ある大型の屋根です。鬼瓦には頂部に雲と宝珠、両流れに精巧な竜の彫物を配しています。高さもあるためひときわ勇壮で大変素晴らしいだんじりです。
後の扁額に新古今和歌集の歌「いかなれば そのかみやま(其神山)の あふひぐさ としはふれども ふたばなるらん」が彫り込まれています。「其神山」は上賀茂神社枕詞で「葵草」は賀茂祭の葵蔓で「いかなれば」の起句を伊賀と結びつけ、だんじりの名を付けたといわれています。
だんじりのつくりなど
- 鬼板
- 雲に宝珠。龍の彫り物、破風尻(ひさし全体)で飾りつけ。
- 屋根
- てり破風。二重垂木(にじゅうたるき)。
- 天井
- 切こまの百花図
- 天幕
- 群鳥(刺繍)
- 前幕
- 山水に麒麟(刺繍)
- 水引幕
- 百花群芳図
- 胴幕
- 陶淵明(とうえんめい)帰去来の図、林和靖(りんなせい)山園小梅の図(綴織)
- 後幕
- 呉道子龍を描く図(刺繍)
- 見送幕
- 牡丹・孔雀・松(錦織)
- 囃子
- 祇園囃子
しるし「菊慈童(きくじどう)」
現存する上野天神祭のしるしで圧巻。享和2年(1802)菅公九百年を契機として作られた伝えがあります。
しるしの見送幕は中国明時代(1368~1644)の官服で作られたといわれます(群青、赤、黄、紫等々の真向きの龍の蝦夷錦)。以前はだんじりの見送り幕でした。